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北海道は蘭越町、山の中の農園の様子をお伝えします。 ほっとする、北の風の音、聞こえますか??
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逗子の思い出。
今回の逗子滞在は、結構、逗子の家へのお別れ、という気分が強かったので、
いちいち寂しいような、切ないような気持ちになっていました。

ひさびさに会った大学の友達と横浜で飲んで、
なんだって話しのできる友達がいるって幸せだなぁと思っていた帰り道、
そしてこんな風に酔っ払ってあの家に帰れるのもあと僅かなんだなぁと、
逗子駅を降りたロータリーをすぎてテクテクと歩いていると、
歌声が聞こえてきました。

おじさんの歌声。大きな声。

他にも仕事帰りらしいスーツ姿のおじさんや女性が
たくさん歩いていたけれど、気にもせず、でかい声で歌っている。
へ??んな人だな、と思っていたのだけど、
でも、なんとなく興味深くて私は歩調を合わせました。
駅からまっすぐ続く、シャッターの下りた商店や小さな飲み屋が
ぽつりぽつりとある道。
街頭がてんてんとあって、ときどき照らされてはまた暗くなる
その背中をなぜか私はついて歩きました。
歩調が遅いので、つぎからつぎへと人が私たちを追い抜いていきました。

でも、いい歌なんだなぁ。

寂しいような、切ないような、でも大切なものがあるということの
温かさを感じている、その温かさを嬉しく思っている。
でも、その大切なものとの距離、未来をやはり寂しく、
切なく思っている。

高音のかすれた声。足音に、懐かしい懐かしい町並み。
信号が赤で立ち止まり、歌は続き、そして、また歩きだす。

駅から私が住んでいた家までは、何度も道を曲がり、
細い路地のような道を入っていくのだけど、
何度道を折れてもそのおじさんの行く方向は
私の家への道からそれません。歌も続きます。

そして、最後の曲がり角を曲がったとき、
小さなお米屋さんのタバコの自動販売機の前でぴたり、
と歌がやんだんです。

「いい歌ですねぇ」と私はつい、言ってしまいました。

あれ、と言ってから思いました。
夜道で、おじさんに声をかけている、私。なにやってるんだ。

「聞こえてましたか?」とおじさん。
聞こえないわけないほどの大声だったくせに、困ったように笑う。

それから、少し一緒に歩きました。

関西弁、関西出身で、私の生まれ育った町のことも知っていました。
昔、歌手になりたかった、と。
自分で出したレコードのジャケットの写真が携帯に入っていて見せてくれました。
近所の小さな小さな橋の上で、川の流れの先に明かりが
いつものようにぽつりと光っているのが見えました。

変な、変な、夜でした。狐につままれたみたいな夜でした。
なにが一番狐かというと、そのとき、「いい歌ですねぇ」と声をかけた自分、だろうなぁ。





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